マンションの大規模修繕について、1オーナーの方も分譲マンションの所有者様にもお読み頂きたい内容です。
まず、マンションにおいて重要な事が、修繕工事をいつ行うか?ここが重要なポイントです。
マンションで修繕の長期的な計画として使用される長期修繕計画書についてです。
こちらの図は、一般的な長期修繕計画書です。
修繕内容
- 鉄部塗装:4~6年周期
- 大規模修繕:10~12年周期
- インターフォン交換:15年周期
この他に、火災報知機の交換が5~10年、ポストの交換が大規模修繕で対応されるマンションや、壊れた時に修理や交換などわかれてきます。
一般的には、大規模修繕は、1回目→2回目→3回目と費用があがります。
理由は、
1回目
- 給水管関連工事
- 照明器具のLED化・または交換
- 立体駐車場・駐輪場関連工事
- 防水(屋上、バルコニー等)関連工事
- 塗装(外壁・鉄部等)関連工事
このような内容の工事が行われますが、2回目以降は、
2回目
- 上記1回目の工事と同じ内容
- 物干し金属・宅配BOX・郵便ポスト関連工事
- オートロックドアエンジンなどの交換・修理
- エレベーター関連工事
- 排水管関連工事
と、1回目の工事に加えて対応工事が増えます。また、1回目は補修で塗装をしたタイルなどの工事も、タイルの交換などの対応になる可能性があります。
3回目
- 上記1回目の工事と同じ内容
- サッシや玄関扉の交換・修理
- エントランスや駐輪場などのアスファルトの改修工事
- 変電・幹線設備関連工事
- 電灯コンセント関連工事
- 弱電設備関連工事
と、1回目の工事に加えて大型の工事が増えるので1回目の大規模修繕額の3~5倍くらいに金額が増えます。
分譲マンションでは2回目以降の修繕費用が足りなくなる事が多く、借り入れを行うか、事前に修繕積立金の増額の対応を行います。現在の築年数が15年以上前のマンションなどの長期修繕計画などでは、予定金額が低く見積もっている事が多く、大規模修繕工事金額が大幅に足りていないこともあります。
理由
- 東北・九州の震災以降工事費用の高騰が続く
- 東京オリンピックの招致に決定後工事費用の高騰が続く
- 工事関係の人材不足から工事費用の高騰が続く
以上のように、工事費用がバブルの時を超える金額になっており、現在の価格に直して修繕計画を行わないと不足金額が発生してしまいます。
工事費用削減のコツ
その①
修繕内容
- 鉄部塗装:4~6年周期 → 10~12年周期に変更する
- 大規模修繕:10~12年周期 → 15年~20年周期に変更する
- インターフォン交換:15年周期
工事の周期を変更します。対応はいたって簡単です。
5年の耐久年数の材料を、15年の材料に変更します。
マンションでよく使われる塗料
実は、マンションの新築時や改修工事で多く使われる塗料が、アクリル塗料やウレタン塗料と言った安く耐久年数が短い塗料を使用します。また、防水工事もしっかりと行わずトップコート(保護材)だけ塗り、見た目を綺麗にする工事を行います。
その分安く行う業者さんもいますが、通常は中間マージンとして管理会社や1次請け企業の儲けとなります。結果として、普通に支払っても、工事内容は長く持たない工事を行われています。
現在は、10年以上の耐久年数がある塗料が支流となっております。
また、塗料には雨が降るたびに綺麗になる塗料や藻やコケの生えにくい塗料も増えております。このような塗料で塗装をすることにより、より長く資産である建物の価値を長持ちさせます。
その②
工事を依頼する業者
- 実際に工事をする職人さんはどの会社も同じく町にいる中小企業の職人です。
- ゼネコン会社や管理会社の場合は必ず中間マージンが発生するのでその分費用が高くなります。
- 会社が有名になればなるほどブランド名があるため費用が高くなります。
工事をお願いする際は、実際に工事を行う専門業者に直接依頼することにより30%~60%ほど安く工事ができます。
中小企業でも大丈夫?
中小企業にお願いした場合、工事の途中で会社が倒産してしまうことはないか?技術や知識はあるのか?こんな声を多く聞きますが、今は大規模修繕に対する保険なども出てきているので、請負企業で保険に加入するケースもございます。
大規模修繕瑕疵(かし)保険などに加入している会社であれば、万が一会社が倒産してしまったり、工事後に瑕疵が見つかる(会社が倒産後)でも保険の対象になったり、工事金の負担や継続がされます。
大規模修繕瑕疵保険とは?
平成22年から国土交通大臣指定の住宅瑕疵担保責任保険法人により提供が開始された、大規模修繕工事にかける保険です。
工事業者が何か事故にあった時に入る保険や、メーカーと合同で出す“保証”と異なり、工事完了後に瑕疵があった場合、その瑕疵を直すための工事費用が支払われる保険です。
『ん?いまいち意味が?』
と思うかもしれませんが、この保険は、
- 工事内容と計画書を保険会社に申請
- 保険会社によって工事前の確認を行う
- 工事完了後に検査員(一級建築士等)が検査を行う
- 保険証書が発行され工事箇所について5~10年の保険に加入となる
この流れで保険に加入します。言ってみれば、保険証書=第三者機関にてしっかり工事を行った証明になるので、管理組合やオーナーさんには安心の証明書となります。
『え?未加入とは何が違うのか?』
通常の工事では、現場監督と言っても施工会社や請負会社が立てたいわゆる身内です。検査についても、専門的な人間による自社工事のダメ探しではなく、綺麗かどうか程度で引渡しを行います。その後不具合が発生してもなんだかんだ言い訳をつけて工事を行ってくれないんです。
もしも、揉めにもめて工事を行っても、その部分のみの工事です。必要最低限の補修しかしません。
その点、瑕疵保険ではかけた保険金に応じて必要費用が払われるので、やり直しが行えるほど手厚い保障があります。
瑕疵保険の魅力
- 施工後に施工会社が潰れても、保険期間が残っていれば保険は継続される
- 工事中にトラブルで家に住めなくなった場合は宿泊費など対応にかかる費用が払われる
- 工事完了後に、手抜き等があれば保険証書が発行されず何度でもやり直しになる
主に、この3点が強みだと思います。
まとめ
- 工事業者選びをしっかり行い無駄な費用を発生させない
- 防水や外壁・鉄部の塗料は耐久年数の長い塗料を使用し修繕の周期を変える
- 中小企業の場合は大規模修繕瑕疵保険の対応などの確認も行う
- 必ず複数の会社に相見積もりを頼み管理会社や見積会社のいいなりにならない
以上に注意し、失敗しない大規模修繕を行ってください。
※これから大規模修繕を検討中の方や現在相見積もり中の方は、是非弊社にも一度お問い合わせください。
オーナーさんや管理組合の、修繕計画に基づいた損をしない工事を提供します。