練馬区にあるマンション2棟の屋上防水工事を行いました。工法は塩ビシート機械的固定(UD)工法です。
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工事前
工事後
工事の特徴
塩ビシート機械的固定工法の特徴
機械的固定工法とは、絶縁工法とも呼ばれ、防水シートを鋼板やビスによって固定する工法です。
下地に直接シートを密着させないため、下地の亀裂や振動、目地の挙動などの影響を受けることがありません。
標準耐用年数は塩ビシートの厚みによっても異なりますが、10年〜15年程度。
工事の様子
既存防水層撤去
既存の劣化状況によっては、下地を撤去しておく必要があります。
仮防水(下地補修)
排水溝に水が流れるために下地の勾配を調整しなければ、シートを貼った後に水たまりがあちこちに出来てしまいます。
仕上がり後の水勾配機能を十分に果たせるように塩ビシート工事においては下地補修は大前提となります。
絶縁シート貼り
絶縁シートは湿気を逃し、下地の不陸を緩和するはたらきがあります。床部分全面に敷き込みます。
ジョイント部にはテープを貼ります。
鋼板取り付け
入隅コーナー部、防水端末部にシート鋼板をドリルで固定して、塩ビシートを接合させます。
防水端末をシーリング材のみに頼る仕様は、シーリング材が劣化すると雨水がシートの裏側に入り込んでしまい、雨が漏れる原因となってしまいます。
ディスク取り付け
絶縁シート上の印がある部分にディスク盤を取り付けていきます。
改修用ドレンの設置
塩ビシート専用の改修用ドレン(排水口)を取り付けます。
塩ビ(ポリ塩化ビニル)シート貼り
平場全面に塩ビシート貼りをします。正式にはポリ塩化ビニル樹脂を主成分とした合成高分子系防水シートになります。
溶着剤(接着剤)塗布
塩ビシートと塩ビシートのジョイント部・端部を溶着していきます。これでシートとシートが一体化します。
ディスクを熱固定
絶縁シートの上に取り付けたディスクを塩ビシートの上から誘導加熱装置「UD BOX」で熱固定します。
笠木部分銅版取り付け
シート端部・出隅入隅を熱溶着
役物周り(シート端部・ルーフドレン・出隅・入隅など)に成 型役物を貼り付けます。
成型役物とは、出隅・入隅などの役物部に使用される、工場で成型された防水部材のことでコーナーパッチとも言います。
脱気筒設置
脱気筒とは、防水層に湿気の逃げ道を作って膨れを防止する重要な役割があります。
水蒸気を逃がすことで、防水効果・建物の耐久性保持にも役立ちます。
接合端末部にUシール充填
シートとシートの接合部分に問題がないか確認し、Uシールと呼ばれる特殊溶剤を接合部分に塗っていきます。これで施工完了です。
シングル屋根塗装工事 | ①施工前 |
②下塗り | ③中塗り(シリコン塗装) |
④上塗り(シリコン塗装) | ⑤施工後 |
最後に
塩ビシート防水のメリット・デメリット
メリット
- 湿潤下地に施工可能。
- 防水層のフクレが発生しにくい。
- 意匠性が良い。
- 下地調整をほとんど必要としない。
- 定期的なトップコートを必要とせず、メンテナンスが簡略化できる。
- 鳥害(カラス等のついばみによる穴あけ事故)を受けない。
- 接合部の水密信頼性が高い。
- 施工性に優れた高周波加熱固定工法がある。
- 防水保証がトップコートの塗替えなしで10年間対応できる。
- トータルコストを削減できる。
- 耐候性・耐薬品性・耐摩耗性が良い。
- 露出防水仕様で軽量のため、構造体への負担を軽減し、防水層のメンテナンスが目視で確認できる。
- 自己消火性がある。
- 屋外での日光による紫外線、熱、オゾンに対し優れた耐久性を持っている。
デメリット
- 人の歩行は不向きである。
- 下地(躯体)によって固定金具の選定が必要。
- 下地の強度が足りない場合は事故に繋がる可能性がある。
- ビス打ちの際、振動や騒音がある。
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