建物を所有している方では一棟でも区分所有でも必ず出てくる問題が大規模修繕工事です。
大規模修繕工事とは、修繕工事の中でも大規模に行う工事をいい、主に足場が必要な外壁修繕がメインとなります。
足場が不要な工事は、大規模修繕工事とは別に行う方もいます。
この大規模修繕工事では、一般的には下記のような費用が1戸あたりにかかります。
回数 | 1戸あたりの修繕費用 |
1回目 | 80万円~140万円 |
2回目 | 140万円~250万円 |
3回目 | 250万円~550万円 |
なので、単純計算で20部屋あるマンションでは1回目の大規模修繕工事は1,600万円~2,800万円が相場ということになります。
ではこの金額のひらきは何か?
- 立地による建物の劣化状況
- 時期による施工の違い
- 使用する材料や工法による違い
- 頼んだ業者による費用の違い
上記のような事が考えられます。
1.立地による建物の劣化状況
海が近い、川が近い、田んぼや噴水があるなど水が塩による被害がある場所では、コケや藻の繁殖や塩害などがあるので外壁の劣化状況が変わります。
また、切土ではなく盛土(崖にあるご自宅)や地盤がゆるいエリアですと、地震などで建物にクラック(ひび割れ)があることがあります。※高速道路や電車の近くもまれにあります。
このような環境では、通常より劣化が進んでる事が多いです。
2.時期による施工の違い
台風が多い時期、梅雨の時期、雪が多い時期などであれば工事期間が延びてしまいます。また材料が固まりにくい状況が発生したり天候によって様々な障害が発生します。このような季節では、何もない季節より費用が増します。
3.使用する材料や工法による違い
この差が多いです。
外壁を1回塗るのか3回塗るのか5回塗るのか?塗り物を何回塗るか?
A工法ではなく、B工法、またはC工法など工法によっても作業方法が異なり金額も変わります。
また、使用する材料などでも数倍の費用の差がありますのでまったく異なります。
最近では、相見積もりにより過剰な値引き交渉から、使用する塗料や工法で安い物の使用が支流になっております。
これは10年後問題と言うべきか、今ではわかりにくいですが6~7年もすると差が出てきます。
オリンピックや震災事業で建設業界は人で不足が問題視されております。そのような状態となると、一人あたりの職人さんの人件費が数倍にもなります。
5年前の工事と今やった工事では数倍工事費も変わってしまいます。そこを5年前と同じ費用で工事をするので手抜き工事などで穴埋めする業者が増えております。
4.頼んだ業者による費用の違い
これは管理会社にお願いするのか?中小企業にお願いするのか?大手ゼネコンにお願いするのか?などで費用がまったく異なります。
※大手ゼネコンについては、現在10億円以下の工事はあまり請けない状況となっております※
話は異なりますが、沖縄の警備員の人件費の入札のニュースをご存じでしょうか?
通常警備員の日給は7,000円~11,000円程度ですが、入札では一人あたり50,000円~90,000円になっていたというニュースです。
これは豊洲やオリンピック事業など全てで言える工事ですが、中間にお偉いさんや大手の会社などがたくさん入り儲けを山分けします。結果職人に入る費用は通常より安くなりますが、儲ける会社は多くなります。
でも工事をお願いする身としてはこんな費用を払いたいですか?
それなら実際に工事をしてくれる職人に費用を多く払っても、意味のない中間マージンは払いたくないという人がほとんどだと思います。
工事をお願いする際は、相見積もりでは提案する工法や塗料が違う事から金額だけでは比べられないので、1社の見積の金額を消したものを各社に渡して金額を入れてもらった方が、金額は比べ安いと思います。
この4つの問題があるため、金額にひらきが出ます。
本題の、工事周期に関しては、現在は15年周期が主流となってきております。また、20年周期を売りにする業者も出始めている状態です。
でも管理会社や自信の長期修繕計画書では10~12年周期が多いと思います。
それは、国土交通省が推奨する長期修繕計画通りに作成しているからです。
現在は、塗料メーカーの企業努力により、数年前まで支流だった7~10年の耐久年数の材料が、15~25年の耐久年数に変わってきております。
また、シーリングに関しては一般的に7年持てばよい材料でしたが、30年持つものを出すメーカーまで出てきております。
この事から、長期修繕計画書を現在作成した会社以外で見直しをすれば、現在にあった長期修繕計画を作成することも可能です。
都内でも長期修繕計画書を50~60年組むマンションも多く増えてきました。
もう、30年程度の長期修繕計画の時代は終わりです。
弊社でも大規模修繕工事では、15年以上持つ塗料と施工方法での工事を基本としております。
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