千代田区にある5階建てビルの屋上・塔屋・ルーフバルコニー・バルコニーの防水工事を「密着工法」で行いました。
工事情報 | |
防水 | 鉄部塗装 |
構造 | RC造 5階建て |
工事前
工事後
工事の特徴
防水工事の工法は密着工法で行いました。
■密着工法とは
ウレタン塗膜防水を行う際に採用されることが多い工法で、雨水の侵入を防ぐために何層かに重ねて形成される防水層を下地に完全に密着させる工法です。
メリットとして、コストパフォーマンスが高く(防水層が軽量で建築物に負担をかけない・複雑な部位への使用が可能など)、一般家庭の防水工事に適しています。
防水層と下地の間に空気を含まない構造になることで、歩行が可能になるので、人の出入りがあるベランダや屋上に行うと効果的です。
密着工法は防水面に継ぎ目がないきれいな防水層を作ることができますが、防水効果を高めるためには定期的にトップコートの塗り替えを行うことが必要になります。
5年から6年程度で塗り替えると、劣化を防いで機能を維持できます。
■防水保証
屋上・塔屋:5年保証(防水材メーカー:AGCポリマー建材株式会社/サラセーヌ)
工事の様子
【防水工事(屋上・塔屋:密着工法)(ルーフバルコニー・バルコニー:保護仕上げ材塗替え)】
工事前
高圧洗浄
高圧洗浄で表面のコケ・汚れなどをしっかり洗い流します。
施工箇所の表面や既存の防水層の表面はほとんどの場合汚れていて、埃やコケ類が付着しています。
このような状況のまま防水層を形成しても、しっかりした施工はできないため、まず最初に行う下地処理作業が非常に重要となります。
改修用ドレン設置
簡易的勾配調整(屋上一部)
通常防水層の平場部分は雨水等がたまらないように傾斜がついており、排水口に水が流れる仕組みになっています。
しかしコンクリートの表面がでこぼこしていたり傾斜がない場合、水溜りになりやすくなります。このような傾斜が取られていない場合は「勾配調整」をしてなめらかにし、水溜りが発生しないようにします。排水させるのには重要な作業になります。
プライマー塗布
下塗り塗料(素地に直接塗布する塗料)とウレタンとの密着をよくするための接着剤のような役割があります。
次に塗る防水材を密着しやすくすることと、小さなひび割れなどを補修する重要な作業です。
入り隅部シーリング充填
入隅とは、二つの壁が内向きに入りあってできる角の部分(凹になっている角)のこと。この角の部分に補強のためのシーリング材を埋めていきます。
凸凹のある部分は、平面部分よりも劣化しやすい。入り隅シーリング材で補強することによって、隅からの漏水を防ぎ、マンションの揺れや振動に対して影響を受けやすい部分を守る。
ウレタン防水塗膜1層目塗布
ウレタン塗料による防水塗膜を作る作業は、1層目と2層目の2回塗りでより強度な防水層を作ることができます。
ウレタン防水塗膜2層目塗布
1層目が完全に乾いたら2層目を塗布する。2層目の塗布により、メーカーの推奨する必要な厚みになり、本来の力を発揮します。
新築や施主が見られない位置での作業の場合、この2層目を行わず1層目のみで終わらせてしまう悪徳業者が後を絶ちません。
工事写真などで必ず作業の確認が必要です。1層目のみでも防水層のため雨漏りは防ぎますが、本来の耐久年数は発揮しません。
トップコート塗布
ウレタン防水材とは異なり、防水性のない保護塗料です。日焼け止めに近い意味があります。
防水層は紫外線にとても弱いので、トップコートを塗布して保護する必要があります。一般的には、アクリルで5年、フッ素で10年で塗り替えが必要になります。
工事完了
【鉄部塗装(手摺・タラップ・SD)】
工事前
ケレン
ケレンとは、主に鉄部をヤスリで擦り、汚れや錆を落とし塗料の付着をよくするための作業です。
鉄部は塗料の付着が悪いので、ケレンが不十分なまま塗装をすると塗装後2~3年で剥がれてくることがあります。
下地の状況にもよりますが、下地の処理・清掃を入念にやることで耐久年数にも差が出るため重要な作業となります。
下塗り
下塗りに錆止め塗料を塗布します。
金属の表面に皮膜を形成し、錆の原因である水や酸素を遮断・除去することで錆や腐敗を防ぐ塗料になります。
中塗り
上塗りと同様の塗料を塗っていきます。
上塗り材の補強や平滑な下地を作ることが目的です。 仕上げ塗料を中塗りと上塗りの2回に分ける事で耐久性が高まります。
中塗りを省いて一度に上塗りをしようとすると必ず塗りムラが出来ます。下塗り一回、上塗り一回で工事を済ませようとする業者は信用出来ない業者という事になりますので注意が必要です。
上塗り
中塗りと同様の塗料を塗って仕上がりとなります。
塗料を2度塗ることによって、初めて適正な塗膜厚が確保され、その塗料の耐久性が十分に発揮されます。
塗料選定もさることながら、適正な作業工程や塗装工程が耐久性を発揮させる重要な役割となります。
工事完了
最後に
工事後の防水層メンテナンス方法
防水工事をした後も、長く防水効果を保つためにはセルフケアが大切になります。
■防水層の表面に異常がないかの点検
年に1回程度点検しましょう。目視で著しい異常があれば、専門業者に相談してみましょう。
■ドレン周りの点検や清掃
ゴミが詰まると植物が生えやすくなったり、水溜まりや雨漏りの原因になることがあります。特にドレン周りのゴミはこまめに清掃してください。
■植物の状況を確認
植物の根は、防水層を貫通していることがあるため、むやみに抜くと雨漏りの原因となってしまうことがあります。成長した草木については、根元で切るなどして、今後の生育を防止しましょう。
■業者にメンテナンスを依頼
防水層の診断や、保護塗料(トップコート)の塗り替え(3〜5年に一度)など、専門業者の技術が必要になってくるメンテナンスもあります。
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